2012/12/09

#582 ロンドン五輪検証報告書の検証 (5)

マルチサポート事業について

検証報告書の本文(27ページ)のうちの44.4%(12ページ)が「マルチサポート事業」についての概要説明、報告、評価等に割かれています。…SMJブログの本シリーズで簡潔にまとめたいのですが、とても難しい作業になります。…申し訳ありませんが、関心のある方は是非ともご自身でお読みください。…とりあえず、以下は、最低限の情報です。

マルチサポート事業とは、「オリンピック競技大会等で、我が国が世界の強豪国に競り勝ち、より確実にメダル獲得するために、トップアスリートなどメダル獲得が期待されるものに対して、多方面からの専門的かつ高度な支援を戦略的・包括的に実施するもの」です。ロンドン五輪に向けては、17競技をターゲット競技種目として指定し、国から委託されたJSC、筑波大学を通じて行われました。なお、競技によっては一部の種目(例えば「陸上競技」は、男子ハンマー投げ、女子マラソン等)だけが指定されていた場合もあります。…ロンドン五輪では、日本が獲得した38個のメダルのうち35個がターゲット競技種目であり、メダルを獲得した13競技のうちの11競技がターゲット競技種目(11/17競技)でした。

JSC:
 アスリート支援事業
   (心理、栄養、スポーツ科学、医学・トレーナー、トレーニング、情報戦略、
    マネジメント、映像技術)
 マルチ・サポートハウス
   (ロンドン五輪・現地サポート拠点:7/16~8/12まで市内の劇場を借りて設置)
筑波大学:
 研究開発
   (競技関連、トレーニング関連、コンディショニング関連の研究開発)

<Terry's memo>
 国内外のスポーツ政策をウォッチしている者から見ても、とても手厚く細やかな支援がなされており、国際的にも高水準のサポート事業だと思います。また、良質のトレーニングを良好な環境で行えるサポートをしたうえで、さらに万全を期して本番を迎えられるコンディショニング面等のサポートを現地でも提供した「マルチサポート事業」は、ロンドン五輪の日本の好成績に大きく貢献したものと考えられます。…この実績を受け、JISS、NF等の関係者、そして、選手・チームの立場から“もっと支援されればもっとメダルが獲得できる”という意見が出されるかもしれません。…確かに、今回、国が財政支援すれば関係機関により効果的な取組(※詳細は検証報告書で!)が展開でき、それが結果に結び付くということが明らかになりました。…ただし、ここから上を目指すのであれば、それに向けての国の関与について、やはり「スポーツ界」の枠を超えた議論が必要となるでしょう。

※参考・引用資料:「ロンドンオリンピックにおける選手育成・強化・支援等に関する検証チーム 報告書」http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/11/27/1328609_1.pdf

0 件のコメント: