プロサッカーチームと教育委員会との連携
現地調査の最後に、カナダのプロサッカーチームの練習を見学するとともに、関係者からとても参考になる取組を紹介してもらいました。…報告書では、ごく簡単にまとめられていますが…
プロサッカーチームのモントリオール・インパクト(Montreal Impact Soccer Academy)がヨーロッパ(フランス)で行われているサッカーエリートを養成するモデルをケベックで導入した。将来のプロのサッカー選手を養成することを目的とし、英語系モントリオール教育委員会(English Montreal School Board)及び高校と連携して行われている。
このアカデ
ミーに参加できるのは、サッカーの技術だけではなく必ず学業成績がチェックされ選抜される。またアカデミーでの選手の様子は学校、家庭に報告され、サッカーの競技力だけでなく態度も重要視される。さらに学校の体育の成績として評価され単位認定もされる。小さい頃からしっかりとした自己形成ができ、フィロソフィーをもったサッカー選手を育てるためにこのアカデミーが作られた。
…詳しく調べると面白いと思います。…なお、説明していただいたアカデミー・ディレクターはフランスで松井大輔選手と一緒にプレーしたことがあると言っていました。
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) p.40 より
2013/07/09
2013/07/08
#758 カナダの体育・健康教育 (8)
PHE Canada について~表彰プログラム~
カナダ身体・健康教育協会(Physical and Health Education Canada)の表彰プログラムについてです。…報告書内では、以下のように説明されてあります。
PHE Canada はカナダ国内において、「教材開発」「ネットワーク開発」「教師支援」「全国会議の開催」「大学生リーダー育成」「表彰」「学校認証」など様々な身体・健康教育に関する取組・サービスを行っている。特に、PHECanada の表彰制度はとても参考になると思われる。以下は、主要な賞(Award)である。
● 「体育指導優秀賞(Physical Education Teaching Excellence Award)」
※卓越した体育指導を行った指導者を表彰するカナダ唯一の全国表彰
● 「健康促進学校優秀賞(Health Promoting School Champion Award)」
※(2012年度:新設)健康促進学校の発展、推進、実施への模範的貢献を行った個人、グループまたは組織を表彰
● 「健康教育者賞(Health Educator Award)」
※(2012年度:新設) カナダにおいて健康教育の重要性を助長する顕著な働きなどをした個人を表彰
これらの受賞者はPHE Canada 他が年1回開催する全国大会(National Conference)において発表される。2012 年は、ハリファックスにおいて5月10 日~ 12 日の日程で開催された「身体・健康教育に関する全国大会(2012 TAPHE and PHE Canada National Conference)」において発表された。
そして、その結果を踏まえ、今回の現地調査では、「体育指導優秀賞」については最優秀賞を受賞したアンドレア先生に、「健康促進学校優秀賞」については最優秀賞を受賞したコールドウェル・ストリート小学校(Caldwell Street Public School)に視察・面談等を申込み受け入れられた。
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.25-26 より
カナダ身体・健康教育協会(Physical and Health Education Canada)の表彰プログラムについてです。…報告書内では、以下のように説明されてあります。
PHE Canada はカナダ国内において、「教材開発」「ネットワーク開発」「教師支援」「全国会議の開催」「大学生リーダー育成」「表彰」「学校認証」など様々な身体・健康教育に関する取組・サービスを行っている。特に、PHECanada の表彰制度はとても参考になると思われる。以下は、主要な賞(Award)である。
● 「体育指導優秀賞(Physical Education Teaching Excellence Award)」
※卓越した体育指導を行った指導者を表彰するカナダ唯一の全国表彰
● 「健康促進学校優秀賞(Health Promoting School Champion Award)」
※(2012年度:新設)健康促進学校の発展、推進、実施への模範的貢献を行った個人、グループまたは組織を表彰
● 「健康教育者賞(Health Educator Award)」
※(2012年度:新設) カナダにおいて健康教育の重要性を助長する顕著な働きなどをした個人を表彰
これらの受賞者はPHE Canada 他が年1回開催する全国大会(National Conference)において発表される。2012 年は、ハリファックスにおいて5月10 日~ 12 日の日程で開催された「身体・健康教育に関する全国大会(2012 TAPHE and PHE Canada National Conference)」において発表された。
そして、その結果を踏まえ、今回の現地調査では、「体育指導優秀賞」については最優秀賞を受賞したアンドレア先生に、「健康促進学校優秀賞」については最優秀賞を受賞したコールドウェル・ストリート小学校(Caldwell Street Public School)に視察・面談等を申込み受け入れられた。
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.25-26 より
2013/07/07
#757 カナダの体育・健康教育 (7)
PHE Canada について~概要~
PHE Canada とは、「カナダ身体・健康教育協会(Physical and Health Education Canada)」のことです。…その概要については、報告書内において、以下のように説明されてあります。
PHE Canada は、カナダにおける身体及び健康教育関係者のための職能団体(professional organization)である。全国規模でカナダにおける身体教育と健康教育に関して唱道する団体であり、カリキュラムの中で「体育」と「保健」は中核になる科目であるという信念のもと、各州の学校で体育あるいは保健の学習が効果的に実践されていくように諸活動・諸プログラムを通じて学校や教師をサポートしている。PHE Canada は1933 年に創設された会員10,000 人を超える組織であり、全国15,000 の学校とのネットワークがある。前身はCAHPERD(Canadian Association for Health,Physical Education, Recreation and Dance)であった。大学、教育委員会、教育省との関係も深く、プログラム開発は教育者や専門家によって行われ、適宜改善等も図られる。以下は、PHE Canada のプログラムの4本柱である。
● 良質の日常体育(Quality Daily Physical Education:QDPE)
● 健康促進学校(Health Promoting Schools:HPS)
● 良質の校内レクリエーション(Quality School Intramural Recreation: QSIR)
● ダンス教育(Dance Education)
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) p.25 より
PHE Canada とは、「カナダ身体・健康教育協会(Physical and Health Education Canada)」のことです。…その概要については、報告書内において、以下のように説明されてあります。
PHE Canada は、カナダにおける身体及び健康教育関係者のための職能団体(professional organization)である。全国規模でカナダにおける身体教育と健康教育に関して唱道する団体であり、カリキュラムの中で「体育」と「保健」は中核になる科目であるという信念のもと、各州の学校で体育あるいは保健の学習が効果的に実践されていくように諸活動・諸プログラムを通じて学校や教師をサポートしている。PHE Canada は1933 年に創設された会員10,000 人を超える組織であり、全国15,000 の学校とのネットワークがある。前身はCAHPERD(Canadian Association for Health,Physical Education, Recreation and Dance)であった。大学、教育委員会、教育省との関係も深く、プログラム開発は教育者や専門家によって行われ、適宜改善等も図られる。以下は、PHE Canada のプログラムの4本柱である。
● 良質の日常体育(Quality Daily Physical Education:QDPE)
● 健康促進学校(Health Promoting Schools:HPS)
● 良質の校内レクリエーション(Quality School Intramural Recreation: QSIR)
● ダンス教育(Dance Education)
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) p.25 より
2013/07/06
#756 カナダの体育・健康教育 (6)
カナダの体力テストについて…
海外派遣プログラムのカナダ現地調査において、「カナダにおける子どもの体力・運動能力向上対策:成果と課題、カナダの体育授業(実践)」を調査研究項目(副問)の1つとして掲げていました。…我々は、カナダの体力テストはどうなんだろう?…という関心をもち現地調査に臨みました。…以下は、そのまとめです。
州ごとで教育カリキュラムの異なるカナダにおいて、全国共通の体力テストは実施されていなかったが、州や学校独自で体力テストを1年に複数回実施し、子どもの実態把握やその後の授業展開に役立たせようとする取組は見られた。全国共通テストではないため、州内での学校間比較や学校内での年間比較に用いることは可能だが、カナダ全体における子どもの体力を推し量る指標としての成果はみられなかった。
しかし、州や学校独自で取組まれている体力テストは、筋力、瞬発力、持久力、柔軟性に関するテスト項目から構成されており、不足している体力を客観的に十分明確化することができ、子どもの実態を把握するうえでは有効であると考えられる。また、学校によっては、年に複数回実施して体力テストの結果を授業の見直しや改善を図るうえでの重要なデータとして活用したり、子どもの体力を向上させるための授業を展開していた。
要するに、日本のように全国共通の体力テストがなくても、自治体、教育委員会または学校独自の体力テストを授業と関連付けて実施することさえできれば、子どもの体力を真に向上させる方法として十分機能するものと考えられる。
カナダにおける子どもたちの体力・運動能力向上方策の成果と課題を調査テーマに掲げて現地調査に臨んだが、その答えとして得られたものは、地域ごとや学校独自の体力テストが機能すれば、十分子どもたちの体力・運動能力の向上は図れるということであった。
…Terry Birdは、今回のカナダ現地調査を通じて、日本のような全国一律の体力テストが本当に必要なのかどうか、検討しても良いのではないかと考えてしまいました。…ソフトボール投げでなくても、サッカーボールのキック力でテストを実施する地方や学校があっても良いのではないでしょうか。全国比較のデータ作りを優先するよりも、本当に子どもたちの体力向上に資するようなテスト及びその結果の活用さえできればそれで良いのではないでしょうか…いかがでしょうか?
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.51-52 より
海外派遣プログラムのカナダ現地調査において、「カナダにおける子どもの体力・運動能力向上対策:成果と課題、カナダの体育授業(実践)」を調査研究項目(副問)の1つとして掲げていました。…我々は、カナダの体力テストはどうなんだろう?…という関心をもち現地調査に臨みました。…以下は、そのまとめです。
州ごとで教育カリキュラムの異なるカナダにおいて、全国共通の体力テストは実施されていなかったが、州や学校独自で体力テストを1年に複数回実施し、子どもの実態把握やその後の授業展開に役立たせようとする取組は見られた。全国共通テストではないため、州内での学校間比較や学校内での年間比較に用いることは可能だが、カナダ全体における子どもの体力を推し量る指標としての成果はみられなかった。
しかし、州や学校独自で取組まれている体力テストは、筋力、瞬発力、持久力、柔軟性に関するテスト項目から構成されており、不足している体力を客観的に十分明確化することができ、子どもの実態を把握するうえでは有効であると考えられる。また、学校によっては、年に複数回実施して体力テストの結果を授業の見直しや改善を図るうえでの重要なデータとして活用したり、子どもの体力を向上させるための授業を展開していた。
要するに、日本のように全国共通の体力テストがなくても、自治体、教育委員会または学校独自の体力テストを授業と関連付けて実施することさえできれば、子どもの体力を真に向上させる方法として十分機能するものと考えられる。
カナダにおける子どもたちの体力・運動能力向上方策の成果と課題を調査テーマに掲げて現地調査に臨んだが、その答えとして得られたものは、地域ごとや学校独自の体力テストが機能すれば、十分子どもたちの体力・運動能力の向上は図れるということであった。
…Terry Birdは、今回のカナダ現地調査を通じて、日本のような全国一律の体力テストが本当に必要なのかどうか、検討しても良いのではないかと考えてしまいました。…ソフトボール投げでなくても、サッカーボールのキック力でテストを実施する地方や学校があっても良いのではないでしょうか。全国比較のデータ作りを優先するよりも、本当に子どもたちの体力向上に資するようなテスト及びその結果の活用さえできればそれで良いのではないでしょうか…いかがでしょうか?
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.51-52 より
2013/07/05
#755 カナダの体育・健康教育 (5)
研修成果報告書:SAまとめより④
SMJブログ#754からのつづきです…
● 「フィジカルリテラシー」という考え方の導入~その2~
今回の現地調査を通じて、カナダではフィジカルリテラシーが、学校体育、生涯スポーツ及び競技スポーツの基礎部分に置かれていることが明らかなった。その発端は2004 年に連邦・州・準州スポーツ担当大臣会議において「カナディアン・スポーツ・フォー・ライフ(Canadian Sport for Life:CS4L)」のコンセプトが承認され、スポーツカナダ(民族遺産省スポーツ局)の特別施策として位置付けられたことにあった。
CS4L とは、カナダにおける“スポーツ(身体活動)の質”を改善することにより、健康増進、コミュニティ強化、競技力向上及びナショナルアイデンティティ強化を目指そうとするムーブメントであり、そのスローガンでもある。2005 年、スポーツカナダの支援を受け6 人の専門家からなる委員会(LTAD Expert Group: LEG)がCS4L を具現化するためのプログラム( モデル) となる「長期競技者発達(Long-TermAthlete Development:LTAD)モデル」の開発に着手した。そして、LTAD モデルが開発され、それ以後、連邦政府から資金援助を得ようとする中央競技団体(National Sport Organization:NSO)は、「スポーツ資金交付及び説明責任枠組み(Sport Funding and Accountability Framework: SFAF)」の基準に基づき当該スポーツ版LTAD モデルを作成しなければならないことになった。CS4L のLTAD では、カナダ人が「競技スポーツ」「生涯スポーツ」に関わらず生涯を通じて身体活動やスポーツに有意義に取組んでいく上で低年齢期にフィジカルリテラシー(基本的運動技能等)を身に付けておくことが必要不可欠であるとされている。言うまでもなくNSO は当該スポーツの普及・振興のみならず競技力の向上を図ろうとする団体である。
このように、カナダでは子どもたちのフィジカルリテラシーの習得がNSO を通じて図れるような仕組みが構築されている。LEG は、2011 年以降、17 人の構成員からなるCS4LLeadership Team に拡大され、現在、カナダにおいてCS4L 推進の役割を担っている。なお、フィジカルリテラシーは、2012 年6 月に2022 年までのカナダの連邦スポーツ政策として改定されたCanadian Sport Policy 2012(CSP 2012)のフレームワークの根底にも置かれており、カナダのスポーツ政策のアンカー的な役割も果たしている考え方である。
・・・日本において、どうしたら役立てられるのか…
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.79-80 より
SMJブログ#754からのつづきです…
● 「フィジカルリテラシー」という考え方の導入~その2~
今回の現地調査を通じて、カナダではフィジカルリテラシーが、学校体育、生涯スポーツ及び競技スポーツの基礎部分に置かれていることが明らかなった。その発端は2004 年に連邦・州・準州スポーツ担当大臣会議において「カナディアン・スポーツ・フォー・ライフ(Canadian Sport for Life:CS4L)」のコンセプトが承認され、スポーツカナダ(民族遺産省スポーツ局)の特別施策として位置付けられたことにあった。
CS4L とは、カナダにおける“スポーツ(身体活動)の質”を改善することにより、健康増進、コミュニティ強化、競技力向上及びナショナルアイデンティティ強化を目指そうとするムーブメントであり、そのスローガンでもある。2005 年、スポーツカナダの支援を受け6 人の専門家からなる委員会(LTAD Expert Group: LEG)がCS4L を具現化するためのプログラム( モデル) となる「長期競技者発達(Long-TermAthlete Development:LTAD)モデル」の開発に着手した。そして、LTAD モデルが開発され、それ以後、連邦政府から資金援助を得ようとする中央競技団体(National Sport Organization:NSO)は、「スポーツ資金交付及び説明責任枠組み(Sport Funding and Accountability Framework: SFAF)」の基準に基づき当該スポーツ版LTAD モデルを作成しなければならないことになった。CS4L のLTAD では、カナダ人が「競技スポーツ」「生涯スポーツ」に関わらず生涯を通じて身体活動やスポーツに有意義に取組んでいく上で低年齢期にフィジカルリテラシー(基本的運動技能等)を身に付けておくことが必要不可欠であるとされている。言うまでもなくNSO は当該スポーツの普及・振興のみならず競技力の向上を図ろうとする団体である。
このように、カナダでは子どもたちのフィジカルリテラシーの習得がNSO を通じて図れるような仕組みが構築されている。LEG は、2011 年以降、17 人の構成員からなるCS4LLeadership Team に拡大され、現在、カナダにおいてCS4L 推進の役割を担っている。なお、フィジカルリテラシーは、2012 年6 月に2022 年までのカナダの連邦スポーツ政策として改定されたCanadian Sport Policy 2012(CSP 2012)のフレームワークの根底にも置かれており、カナダのスポーツ政策のアンカー的な役割も果たしている考え方である。
・・・日本において、どうしたら役立てられるのか…
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.79-80 より
2013/07/04
#754 カナダの体育・健康教育 (4)
研修成果報告書:SAまとめより③
今回の海外派遣プログラムを通じて多くのお土産をカナダから持ち帰ることができました。…それらの中で、最大級のものは「フィジカルリテラシー(Physical Literacy)」と「理解のためのゲーム教授法(Teaching Games for Understanding:TGfU)」でした。すなわち、この2つが日本の教育現場等に還元できる主要ポイントに当たります。…なお、TGfUについてはSMJブログ#737~741で書いています。…それでは、フィジカルリテラシーですが・・・
● 「フィジカルリテラシー」という考え方の導入~その1~
SA準備段階において、フィジカルリテラシー(Physical Literacy)が今回のカナダ現地調査で重要なキーワードになることは容易に想像できたが、日本で入手できる情報だけでは、その実態を的確に掴むことはできなかった。そこで、本団の調査研究テーマの1つとして掲げ、12日間の現地調査全体を通じてフィジカルリテラシーの把握に努めた。
日本でもフィジカルリテラシーという用語が以前から使われているが、フィジカルリテラシーに関する「概念論文(Physical Literacy Concept Paper)」が71ページもあるように、カナダのそれは比較にならないほど奥深いものであった。また、フィジカルリテラシーの概念を体育(Physical Education)に取り入れようとする動きがイギリス、アイルランド、ギリシャ、オランダ、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、フィンランド、スペイン、オーストラリア、ドイツ等に広がっていることから、フィジカルリテラシーへの注目は世界的な潮流であると考えられる。
そもそもフィジカルリテラシーは、現象学(Phenomenology)と実存主義(Existentialism)の研究から発展した概念で、現在では認知心理学(cognitive psychology)や社会学(sociology)を含む他の学問分野からも注目されている。フィジカルリテラシーに関する第一人者であるイギリスのマーガレット・ホワイトヘッド(Margaret Whitehead)は、2007 年に自身のそれまでの定義を「フィジカルリテラシーとは、生活の質(QOL)の向上に大きく寄与する各人の運動潜在能力を十分に生かす能力及び意欲のことである。」という作業定義として更新した。なお、2013年6月12・13日にイギリスのベッドフォード(Bedford)近郊のセントノエツ(St. Neots)で「第2回フィジカルリテラシー国際会議(テーマ:生涯にわたるフィジカルリテラシー)」の開催が予定されている。
・・・後半は、#755で!
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.78-79 より
今回の海外派遣プログラムを通じて多くのお土産をカナダから持ち帰ることができました。…それらの中で、最大級のものは「フィジカルリテラシー(Physical Literacy)」と「理解のためのゲーム教授法(Teaching Games for Understanding:TGfU)」でした。すなわち、この2つが日本の教育現場等に還元できる主要ポイントに当たります。…なお、TGfUについてはSMJブログ#737~741で書いています。…それでは、フィジカルリテラシーですが・・・
● 「フィジカルリテラシー」という考え方の導入~その1~
SA準備段階において、フィジカルリテラシー(Physical Literacy)が今回のカナダ現地調査で重要なキーワードになることは容易に想像できたが、日本で入手できる情報だけでは、その実態を的確に掴むことはできなかった。そこで、本団の調査研究テーマの1つとして掲げ、12日間の現地調査全体を通じてフィジカルリテラシーの把握に努めた。
日本でもフィジカルリテラシーという用語が以前から使われているが、フィジカルリテラシーに関する「概念論文(Physical Literacy Concept Paper)」が71ページもあるように、カナダのそれは比較にならないほど奥深いものであった。また、フィジカルリテラシーの概念を体育(Physical Education)に取り入れようとする動きがイギリス、アイルランド、ギリシャ、オランダ、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、フィンランド、スペイン、オーストラリア、ドイツ等に広がっていることから、フィジカルリテラシーへの注目は世界的な潮流であると考えられる。
そもそもフィジカルリテラシーは、現象学(Phenomenology)と実存主義(Existentialism)の研究から発展した概念で、現在では認知心理学(cognitive psychology)や社会学(sociology)を含む他の学問分野からも注目されている。フィジカルリテラシーに関する第一人者であるイギリスのマーガレット・ホワイトヘッド(Margaret Whitehead)は、2007 年に自身のそれまでの定義を「フィジカルリテラシーとは、生活の質(QOL)の向上に大きく寄与する各人の運動潜在能力を十分に生かす能力及び意欲のことである。」という作業定義として更新した。なお、2013年6月12・13日にイギリスのベッドフォード(Bedford)近郊のセントノエツ(St. Neots)で「第2回フィジカルリテラシー国際会議(テーマ:生涯にわたるフィジカルリテラシー)」の開催が予定されている。
・・・後半は、#755で!
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.78-79 より
2013/07/03
#753 カナダの体育・健康教育 (3)
研修成果報告書:SAまとめより②
3つの調査研究テーマ(副問)に基づき、カナダ現地調査(2012.10.29~11.09)で収集した情報等を整理・検討したところ、主たる現地調査結果を以下の5つにまとめることができました。
1) カナダ人の健康・体力は、10 年前に比べ肥満や体力低下がさらに進み、深刻な状況であることが分かった。例えば、カナダの子どもの3人に1人(160 万人)が肥満傾向にある。その根本原因は国民の運動不足(physical inactivity)にあるが、カナダ身体活動ガイドラインが示す1日の身体活動時間を達成しているのは、子ども(5~ 17 歳)で7%、大人(18 歳~)で15%にしか過ぎない状況であった。カナダでは、このような国民の運動不足が年間68 億カナダドル(6,120 億円)の医療費の負担増につながることから「運動不足の危機(InactivityCrisis)」として国家的課題の1つに位置付けられている。
2) カナダでは「パティシパクション(ParticipACTION)」「オンタリオ身体・健康教育協会(OPHEA)」「カナダ身体・健康教育協会(PHE Canada)」「中央競技団体(NSO:カナダバレーボール協会他)」等の民間団体(NPO)が身体・健康教育分野に対して非常に効果的なプログラム、サービス等を提供していた。
3) カナダ国民の生涯スポーツの実践に向けた取組の中核に「カナディアン・スポーツ・フォー・ライフ(CS4L)」の「長期競技者発達(LTAD)モデル」が位置づけられていた。
4) カナダには全国統一の体力テストはなく、州、教育委員会または学校独自の体力テストが実施されていた。体育の授業においては「理解のためのゲーム教授法(TGfU)」が活用されていた。また、高校の卒業率を向上させるプログラムの中でスポーツが活用されていた。
5) カナダでは「フィジカルリテラシー(Physical Literacy)」という概念(考え方)が、学校体育においては州教育省レベルの保健・体育カリキュラムの中で、また生涯スポーツ及び競技スポーツにおいてはLTADで、それぞれの基礎部分に置かれていた。
・・・約1年前に、このようなまとめができるとは、まったく想像もつきませんでした!
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.77-78 より
3つの調査研究テーマ(副問)に基づき、カナダ現地調査(2012.10.29~11.09)で収集した情報等を整理・検討したところ、主たる現地調査結果を以下の5つにまとめることができました。
1) カナダ人の健康・体力は、10 年前に比べ肥満や体力低下がさらに進み、深刻な状況であることが分かった。例えば、カナダの子どもの3人に1人(160 万人)が肥満傾向にある。その根本原因は国民の運動不足(physical inactivity)にあるが、カナダ身体活動ガイドラインが示す1日の身体活動時間を達成しているのは、子ども(5~ 17 歳)で7%、大人(18 歳~)で15%にしか過ぎない状況であった。カナダでは、このような国民の運動不足が年間68 億カナダドル(6,120 億円)の医療費の負担増につながることから「運動不足の危機(InactivityCrisis)」として国家的課題の1つに位置付けられている。
2) カナダでは「パティシパクション(ParticipACTION)」「オンタリオ身体・健康教育協会(OPHEA)」「カナダ身体・健康教育協会(PHE Canada)」「中央競技団体(NSO:カナダバレーボール協会他)」等の民間団体(NPO)が身体・健康教育分野に対して非常に効果的なプログラム、サービス等を提供していた。
3) カナダ国民の生涯スポーツの実践に向けた取組の中核に「カナディアン・スポーツ・フォー・ライフ(CS4L)」の「長期競技者発達(LTAD)モデル」が位置づけられていた。
4) カナダには全国統一の体力テストはなく、州、教育委員会または学校独自の体力テストが実施されていた。体育の授業においては「理解のためのゲーム教授法(TGfU)」が活用されていた。また、高校の卒業率を向上させるプログラムの中でスポーツが活用されていた。
5) カナダでは「フィジカルリテラシー(Physical Literacy)」という概念(考え方)が、学校体育においては州教育省レベルの保健・体育カリキュラムの中で、また生涯スポーツ及び競技スポーツにおいてはLTADで、それぞれの基礎部分に置かれていた。
・・・約1年前に、このようなまとめができるとは、まったく想像もつきませんでした!
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.77-78 より
2013/07/02
#752 カナダの体育・健康教育 (2)
研修成果報告書:SAまとめより①
カナダは、やはり期待どおりの国であった。我がG-1団は、12 日間のカナダ現地調査を通じて、同国の「スポーツ・健康教育」の在り方、取組等から多くの有意義な示唆を得ることができた。そして、それらについては本報告書で詳細に述べられているのだが、そこでは主として事前研修において設定した3つの調査研究テーマ(副問)それぞれの答えが見出されたに過ぎない。すなわち、本団の派遣テーマ(主問)である「スポーツ・健康教育の推進」に対する答えはまだ見出されていない。
そこで、本節では、G-1団の派遣テーマ「スポーツ・健康教育の推進」に対する答えをまとめとして見出しつつ、さらに、日本に還元できるポイントを具体的に示すことにする。
● 解説:3つの副問
1.生涯スポーツの実践に向けた基礎づくりに関するカナダの取組
2.カナダにおける子どもの体力・運動能力向上対策:成果と課題、カナダの体育授業(実践)
3.スポーツ・健康分野における「リテラシー」という考え方について
・・・さて、日本に還元できるポイントとは…
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) p.76 より
カナダは、やはり期待どおりの国であった。我がG-1団は、12 日間のカナダ現地調査を通じて、同国の「スポーツ・健康教育」の在り方、取組等から多くの有意義な示唆を得ることができた。そして、それらについては本報告書で詳細に述べられているのだが、そこでは主として事前研修において設定した3つの調査研究テーマ(副問)それぞれの答えが見出されたに過ぎない。すなわち、本団の派遣テーマ(主問)である「スポーツ・健康教育の推進」に対する答えはまだ見出されていない。
そこで、本節では、G-1団の派遣テーマ「スポーツ・健康教育の推進」に対する答えをまとめとして見出しつつ、さらに、日本に還元できるポイントを具体的に示すことにする。
● 解説:3つの副問
1.生涯スポーツの実践に向けた基礎づくりに関するカナダの取組
2.カナダにおける子どもの体力・運動能力向上対策:成果と課題、カナダの体育授業(実践)
3.スポーツ・健康分野における「リテラシー」という考え方について
・・・さて、日本に還元できるポイントとは…
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) p.76 より
#751 カナダの体育・健康教育 (1)
報告書がWeb公開されています…
Terry Bird がシニアアドバイザー(SA)を務めた独立行政法人教員研修センター(NCTD)主催の「平成24年度教育課題研修指導者海外派遣プログラム」の報告書が、NCTDのウェブサイトで公開されました。
テーマは「スポーツ・健康教育の推進」で、調査対象国はカナダでした。
報告書の現物はすでに公刊されていましたが、ごく限られた機関や関係者しか手にすることはできませんでした。…ところが、今日のようなインターネット社会では、本報告書がWeb公開されたことで世界中の人々が目にすることができるようになったわけです。…凄いことです。
これを機に、カナダの体育・健康教育についてSMJブログで解説していくことにします。…っと、解説と言いましたが、実は、まだまだ把握できていないことが山ほどありますので、それらを調べつつ新たな情報を加えて、さらなる把握に努めていきたいと考えています。…すなわち、Terry Bird の勉強も兼ねているのです。…よろしかったらお付き合いください。
なお、報告書は他の団のものも含め、以下のサイトから閲覧等が可能です。
http://www.nctd.go.jp/lecture/report/h24kaigaireport_all.html
Terry Bird がシニアアドバイザー(SA)を務めた独立行政法人教員研修センター(NCTD)主催の「平成24年度教育課題研修指導者海外派遣プログラム」の報告書が、NCTDのウェブサイトで公開されました。
テーマは「スポーツ・健康教育の推進」で、調査対象国はカナダでした。
報告書の現物はすでに公刊されていましたが、ごく限られた機関や関係者しか手にすることはできませんでした。…ところが、今日のようなインターネット社会では、本報告書がWeb公開されたことで世界中の人々が目にすることができるようになったわけです。…凄いことです。
これを機に、カナダの体育・健康教育についてSMJブログで解説していくことにします。…っと、解説と言いましたが、実は、まだまだ把握できていないことが山ほどありますので、それらを調べつつ新たな情報を加えて、さらなる把握に努めていきたいと考えています。…すなわち、Terry Bird の勉強も兼ねているのです。…よろしかったらお付き合いください。
なお、報告書は他の団のものも含め、以下のサイトから閲覧等が可能です。
http://www.nctd.go.jp/lecture/report/h24kaigaireport_all.html
登録:
投稿 (Atom)