2013/07/04

#754 カナダの体育・健康教育 (4)

研修成果報告書:SAまとめより③

今回の海外派遣プログラムを通じて多くのお土産をカナダから持ち帰ることができました。…それらの中で、最大級のものは「フィジカルリテラシー(Physical Literacy)」と「理解のためのゲーム教授法(Teaching Games for Understanding:TGfU)」でした。すなわち、この2つが日本の教育現場等に還元できる主要ポイントに当たります。…なお、TGfUについてはSMJブログ#737~741で書いています。…それでは、フィジカルリテラシーですが・・・

「フィジカルリテラシー」という考え方の導入~その1~

SA準備段階において、フィジカルリテラシー(Physical Literacy)が今回のカナダ現地調査で重要なキーワードになることは容易に想像できたが、日本で入手できる情報だけでは、その実態を的確に掴むことはできなかった。そこで、本団の調査研究テーマの1つとして掲げ、12日間の現地調査全体を通じてフィジカルリテラシーの把握に努めた。

日本でもフィジカルリテラシーという用語が以前から使われているが、フィジカルリテラシーに関する「概念論文(Physical Literacy Concept Paper)」が71ページもあるように、カナダのそれは比較にならないほど奥深いものであった。また、フィジカルリテラシーの概念を体育(Physical Education)に取り入れようとする動きがイギリス、アイルランド、ギリシャ、オランダ、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、フィンランド、スペイン、オーストラリア、ドイツ等に広がっていることから、フィジカルリテラシーへの注目は世界的な潮流であると考えられる。

そもそもフィジカルリテラシーは、現象学(Phenomenology)と実存主義(Existentialism)の研究から発展した概念で、現在では認知心理学(cognitive psychology)や社会学(sociology)を含む他の学問分野からも注目されている。フィジカルリテラシーに関する第一人者であるイギリスのマーガレット・ホワイトヘッド(Margaret Whitehead)は、2007 年に自身のそれまでの定義を「フィジカルリテラシーとは、生活の質(QOL)の向上に大きく寄与する各人の運動潜在能力を十分に生かす能力及び意欲のことである。」という作業定義として更新した。なお、2013年6月12・13日にイギリスのベッドフォード(Bedford)近郊のセントノエツ(St. Neots)で「第2回フィジカルリテラシー国際会議(テーマ:生涯にわたるフィジカルリテラシー)」の開催が予定されている。

・・・後半は、#755で!

※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.78-79 より

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