研修成果報告書:SAまとめより④
SMJブログ#754からのつづきです…
● 「フィジカルリテラシー」という考え方の導入~その2~
今回の現地調査を通じて、カナダではフィジカルリテラシーが、学校体育、生涯スポーツ及び競技スポーツの基礎部分に置かれていることが明らかなった。その発端は2004 年に連邦・州・準州スポーツ担当大臣会議において「カナディアン・スポーツ・フォー・ライフ(Canadian Sport for Life:CS4L)」のコンセプトが承認され、スポーツカナダ(民族遺産省スポーツ局)の特別施策として位置付けられたことにあった。
CS4L とは、カナダにおける“スポーツ(身体活動)の質”を改善することにより、健康増進、コミュニティ強化、競技力向上及びナショナルアイデンティティ強化を目指そうとするムーブメントであり、そのスローガンでもある。2005 年、スポーツカナダの支援を受け6 人の専門家からなる委員会(LTAD Expert Group: LEG)がCS4L を具現化するためのプログラム( モデル) となる「長期競技者発達(Long-TermAthlete Development:LTAD)モデル」の開発に着手した。そして、LTAD モデルが開発され、それ以後、連邦政府から資金援助を得ようとする中央競技団体(National Sport Organization:NSO)は、「スポーツ資金交付及び説明責任枠組み(Sport Funding and Accountability Framework: SFAF)」の基準に基づき当該スポーツ版LTAD モデルを作成しなければならないことになった。CS4L のLTAD では、カナダ人が「競技スポーツ」「生涯スポーツ」に関わらず生涯を通じて身体活動やスポーツに有意義に取組んでいく上で低年齢期にフィジカルリテラシー(基本的運動技能等)を身に付けておくことが必要不可欠であるとされている。言うまでもなくNSO は当該スポーツの普及・振興のみならず競技力の向上を図ろうとする団体である。
このように、カナダでは子どもたちのフィジカルリテラシーの習得がNSO を通じて図れるような仕組みが構築されている。LEG は、2011 年以降、17 人の構成員からなるCS4LLeadership Team に拡大され、現在、カナダにおいてCS4L 推進の役割を担っている。なお、フィジカルリテラシーは、2012 年6 月に2022 年までのカナダの連邦スポーツ政策として改定されたCanadian Sport Policy 2012(CSP 2012)のフレームワークの根底にも置かれており、カナダのスポーツ政策のアンカー的な役割も果たしている考え方である。
・・・日本において、どうしたら役立てられるのか…
※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.79-80 より
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