2013/07/06

#756 カナダの体育・健康教育 (6)

カナダの体力テストについて…

海外派遣プログラムのカナダ現地調査において、「カナダにおける子どもの体力・運動能力向上対策:成果と課題、カナダの体育授業(実践)」を調査研究項目(副問)の1つとして掲げていました。…我々は、カナダの体力テストはどうなんだろう?…という関心をもち現地調査に臨みました。…以下は、そのまとめです。

州ごとで教育カリキュラムの異なるカナダにおいて、全国共通の体力テストは実施されていなかったが、州や学校独自で体力テストを1年に複数回実施し、子どもの実態把握やその後の授業展開に役立たせようとする取組は見られた。全国共通テストではないため、州内での学校間比較や学校内での年間比較に用いることは可能だが、カナダ全体における子どもの体力を推し量る指標としての成果はみられなかった。

しかし、州や学校独自で取組まれている体力テストは、筋力、瞬発力、持久力、柔軟性に関するテスト項目から構成されており、不足している体力を客観的に十分明確化することができ、子どもの実態を把握するうえでは有効であると考えられる。また、学校によっては、年に複数回実施して体力テストの結果を授業の見直しや改善を図るうえでの重要なデータとして活用したり、子どもの体力を向上させるための授業を展開していた。

要するに、日本のように全国共通の体力テストがなくても、自治体、教育委員会または学校独自の体力テストを授業と関連付けて実施することさえできれば、子どもの体力を真に向上させる方法として十分機能するものと考えられる。

カナダにおける子どもたちの体力・運動能力向上方策の成果と課題を調査テーマに掲げて現地調査に臨んだが、その答えとして得られたものは、地域ごとや学校独自の体力テストが機能すれば、十分子どもたちの体力・運動能力の向上は図れるということであった。

…Terry Birdは、今回のカナダ現地調査を通じて、日本のような全国一律の体力テストが本当に必要なのかどうか、検討しても良いのではないかと考えてしまいました。…ソフトボール投げでなくても、サッカーボールのキック力でテストを実施する地方や学校があっても良いのではないでしょうか。全国比較のデータ作りを優先するよりも、本当に子どもたちの体力向上に資するようなテスト及びその結果の活用さえできればそれで良いのではないでしょうか…いかがでしょうか?

※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.51-52 より

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