2011/06/04

#136 スポーツ法ニュース (第4号)

スポーツ基本法案前文:冒頭文章について!

内閣不信任決議案が否決されましたので、今国会での「スポーツ基本法」の成立が現実味を帯びてきました。多分、無修正で通過すると思いますが……1つだけ指摘させていただきます。

SMJブログ#134でも触れました。Terry は同法案の前文の冒頭に「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」を置くことに違和感を感じています。……と言っても、新しいスポーツ法の制定に反対している訳ではありませんし、「スポーツが文化である」ということを否定している訳でもありませんので、誤解なく!

主な理由は「世界共通の人類の文化」という文言は国際的に同意(共通認識)されていないのではないかと考えたからです。……いつの頃からか、よく見聞きするようになった文言ですが、もしかして日本だけで使われている文言なのでは?…… 以下、短時間で調べましたので、もし Terry の解釈が間違っていればどなたかご指摘ください。

「スポーツ振興基本計画」(2000年9月策定)では“世界共通の文化”、「21世紀に向けたスポーツの振興方策について(答申)」(1989年11月)では“世界共通の人類の文化”、「スポーツの振興に関する報告書」(1988年3月)では“人類共通の文化”と記述されていました。Terry の知る限りでは、1988年の報告書のそれが日本での初出ではないかと思います。……では、この文言は何故生まれたのでしょうか?

おそらく、1978年11月にユネスコ総会で採択された「体育およびスポーツに関する国際憲章」“universal language(世界共通語)”が参考とされ、そして、それが拡大解釈され、日本で「人類共通の文化」という文言が生まれたのではないかと Terry は考えます。二十数年を経た今、「世界共通の人類の文化」が法律内の文言として定着しようとしています。参考までに、同憲章内の該当箇所の原文を記載します。

Through co-operation and the pursuit of mutual interests in the universal language of physical education and sport, ・・・  

「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」の趣旨は理解できます。しかしながら、国際的に同意された文言でないとすると、あえて法律の前文の冒頭で記述する必要はないのではないでしょうか。

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