2011/02/28

#49 大学でのスポーツキャリア形成 - その意義と方法 - (2)

 (2) 健スポ1・2期生の評価 → 健スポの「コンセプト」

「TSU入学前特別授業(2/26)」の講義内容の続きです。

 ①「健スポ」2年間の歩み
② 健スポ1・2期生の評価
 ③ 大学でのスポーツキャリア形成の意義
 ④ 大学でのスポーツキャリア形成の方法
 ⑤ 入学までの宿題
 ⑥ 質疑応答

以下は、教員の立場から見た……と言っても、Terry の目から見た……健スポ学生に対する評価(ポジティブ面 ←→ ネガティブ面)です。

         元気  ←→  授業中私語が多い?
        明るい  ←→  ケジメがつかない?
   まとまりがある  ←→  グループで固まる?
    スポーツ好き  ←→  座学は苦手?
      ノリが良い  ←→  悪ノリする?
   動くことが得意  ←→  企画は苦手?
可能性を秘めている  ←→  器用貧乏?

まとめると

健康・スポーツ心理学科の学生は、「とても人間的で、魅力のある学生さんです!」

ただし

「本格的に何かに(スポーツ、勉強等に)取り組んでいる学生は少ないです。鍛えれば、もっと、もっと可能性が開花するのに・・・もったいない!」

そこで、この問題解決に資すると考える「健スポのコンセプト」です。

  『健康・スポーツマインドを兼ね備えた大人の養成!』

「③ 大学でのスポーツキャリア形成の意義」については、次回につづく!

2011/02/27

#48 大学でのスポーツキャリア形成 - その意義と方法 - (1)

 (1) TSU健康・スポーツ心理学科:2年間の歩み

今日は「Terry の教育活動日誌」です。2月26日(土)に実施された……愛娘Kaina の5歳の誕生日でしたが……TSU入学前特別授業」で Terry が担当した講義内容について簡単に書かせていただきます。対象は、4月に入学してきてくれる「TSU健康・スポーツ心理学科3期生」(出席者26名+保護者多数)でした。通常、健康・スポーツ心理学科のことを「健スポ(or ケンスポ)」と呼んでいます。

講義内容
①  「健スポ」2年間の歩み
   ~大学生活前半をイメージしよう!~
 ② 健スポ1・2期生の評価
 ③ 大学でのスポーツキャリア形成の意義
 ④ 大学でのスポーツキャリア形成の方法
 ⑤ 入学までの宿題
 ⑥ 質疑応答

<1年次>

4月  ・応用心理学部学外研修(1泊2日:手賀の丘少年自然の家)
    ・マナー研修Ⅰ → 木曜日は「フォーマルドレス」の日!
    ・スポーツボランティア →  「新川わくわくプレーパーク」でのボランティア
7月  ・「一般常識」「SPI」の問題集配布(2冊)
9月  ・後期オリエンテーション
    ・基礎学力確認テスト①
    ・健スポ「スポーツ大会」
10月 ・「特別講演会」 ※著名人
1月  ・ボランティア報告会

<2年次>

4月  ・学科オリエンテーション ※学長賞の表彰
    ・マナー研修Ⅱ → 木曜日は「フォーマルドレス」の日!
    ・基礎学力確認テスト②
9月  ・後期オリエンテーション
    ・基礎学力確認テスト③
    ・健スポ「スポーツ大会」
10月 ・「特別講演会」 ※著名人
3月  ・学外研修(1泊2日:鹿野山禅青少年研修所)
       ※「精神集中法」「3年次ゼミ・ガイダンス」「スポーツ関連他の就職に向けて」

上記資料をもとに、健スポの1~2年期の主要行事を説明することで、皆さんに2年間の過ごし方をイメージしてもらいました。「②健スポ1・2期生の評価」については、次回につづく!

2011/02/26

#47 スポーツ政策研究日誌 (1)

Terry がブログ「Sport Matters JAPAN」を書き始めてから、今日で47回目になります。たった、1ヶ月半ぐらいですが色々なことがありました。特に、カナダ現地調査(6泊8日)は、Terry にとって刺激的なイベントでした。これから数週間が、そのまとめになります。

これまでもそうですが、しばらく忙しくなりますので、当面、SMJブログはメモ程度で書かせていただきます。よろしかったら、お読みください。

★カナダの「スポーツくじ」についての資料収集・分析
    ・1974年4月15日 カナダ初の国営くじ「オリンピック宝くじ」の抽選 ※1等100万CAD
    ・BC Lotteries Corporation:BCLC → 「Sports Action」「SportsFunder」
★「VANOC Annual Report::Consolidated Financial Statements」のチェック(http://www.2010legaciesnow.com/fileadmin/user_upload/About_Us/VANOC/2010_VANOC_Financial_report.pdf)   
★訳語: 「crown corporation」 → 「公共企業体」 → 「公社」と訳しても良いでしょう!
   (※日本カナダ学会「メイプル豆辞典」より) 

今から、明日の「TSU入学前特別授業」の準備をしま~す!
スポーツを「仕事」にする楽しさを、伝えたいなぁ…

2011/02/25

#46 解説:カナダのスポーツ政策(10)

 (10) カナダ連邦政府のスポーツ担当部局について~その4~

#45の理由です。

★キーパーソンは、ジェラルド・レガン(Gerald Regan)下院議員でした。

以下は、彼の経歴と、1980年から1982年にかけて、カナダのスポーツ担当部局が「保健福祉省」から「労働省」、そして「カナダ担当国務長官(Secretary of State of Canada)」の所管へと移り、最終的に「保健福祉省」のもとに戻った経緯です。

・1980年3月  3日~1980年3月 5日 労働大臣 兼 スポーツ担当国務大臣
・1980年3月  6日~1981年9月21日 労働大臣 兼 アマチュアスポーツ大臣
・1981年9月22日~1982年9月29日 カナダ担当国務長官 兼 アマチュアスポーツ大臣

カナダ連邦政府のスポーツ担当部局は1961年から「保健福祉省」に置かれていましたが、ジェラルド・レガン下院議員が労働大臣になった時に、「スポーツ」を自分のもとに置いておきたかった何らかの理由があって、所管を「労働省」に強引に移したようです。、その後も、労働大臣を辞めて「カナダ担当国務長官」に任命された折も、「スポーツ」を持参していったようです。

ただし、「労働省」には スポーツ団体やスポーツプログラムへの補助金交付 に関する業務の知識・経験がなかったために非常に苦労したようです。……要するに、新大臣がお荷物を持参してきた!…ということなのでしょうか…

当然のことながら、レガン大臣が両職を離れたことで、スポーツの担当部局は「保健福祉省」に戻ることになりました。

この件について、回顧録として記述していたゴードン・F・オズボールデストン(Gordon F. Osbaldeston)下院議員は、「(彼はダメな人なのだが…)」と書いていました。

★外国スポーツ政策研究のコツ  by Terry

 対象機関・事業等の歴史を詳細に把握すべし!

(参考・引用)
『ORGANAIZING to GOVRN volume one』(Gordon F. Osbaldeston)

2011/02/24

#45 解説:カナダのスポーツ政策(9)

 (9) カナダ連邦政府のスポーツ担当部局について~その3~

カナダでは、1961年の「フィットネス・アマチュアスポーツ法」制定とともに「保健福祉省(National Health and Welfare Canada)」内に、フィットネス・アマチュアスポーツプログラム(特に、連邦-州間費用分担協定)を担当する部署として「フィットネス・アマチュアスポーツ部(Fitness and Amateur Sport Directorate)」が設置されました。その後、フィットネス・アマチュアスポーツ部は、1973年の「局(Branch)」への昇格、1976年の「フィットネス・アマチュアスポーツ担当国務大臣」の設置、1993年の中央省庁再編等を経ながら、今日の「民族遺産省」内の「スポーツカナダ」に至っています。※写真の建物の16F
Sport Canada, Canadian Heritage (ケベック州ガティノー)
十数年前、日本のスポーツ関係のある雑誌の中で、カナダのスポーツ担当部局が「保健福祉省」(※日本の「旧厚生省」のようなもの)から「労働省」に移った……という記述を見つけました。カナダでは、そんなこともあるのかぁ……程度の認識で済ませていましたしたが、2007年にカナダの国立図書館・公文書館で資料収集している時に、何げなく手に取った本にその答え(理由)が書いてあったのです。

1980年から1982年にかけて、カナダのスポーツ担当部局が「保健福祉省」から「労働省」、そして「カナダ担当国務長官(Secretary of State of Canada)」の所管へと移り、最終的に「保健福祉省」のもとに戻った理由が分かったのです。 (つづく)

2011/02/23

#44 解説:カナダのスポーツ政策(8)

 (8) カナダ連邦政府のスポーツ担当部局について~その2~

カナダ連邦政府機関のスポーツ担当部局である「スポーツカナダ(Sport Canada)」は、カナダのスポーツシステムの中枢であると Terry は位置づけています。パートナーシップ を前提にしつつも リーダーシップ コントロール の面で、おそらく、日本のそれよりも機能的であるかもしれません。

「カナダ民族遺産大臣 + スポーツ担当国務大臣」の指揮のもと、「次官」 → 「副次官」 → 「次官補(公共・地域関係担当)」 → 「(スポーツ)局長」 → 「6課19係」 の組織構成となっているようです。

詳細は、スポーツカナダの HP で!……と言いたいところですが、2010年10~11月頃に組織改革が行われたようで……(現地調査でしっかりと確認してきました)……掲載されているのは旧組織図ですので、ご注意を!

★外国スポーツ政策研究のコツ  by Terry

 まずは対象機関・事業等のホームページを詳細に分析すべし!

  ※情報整理、全体像(構造)把握、疑問点の発見などのため

2011/02/22

#43 解説:カナダのスポーツ政策(7)

 (7) カナダ連邦政府のスポーツ担当部局について~その1~

カナダ連邦政府機関のスポーツ担当部局は「スポーツカナダ(Sport Canada)」です。カナダ民族遺産省(Canadian Heritage)の一部局です。日本の「文部科学省スポーツ・青少年局」に相当しますが、以前もSMJブログに書きましたように、その任務、役割等は、どちらかと言うと、これから日本においてその設置について議論になるであろう「スポーツ庁」に近いと Terry は考えています。

スポーツカナダが 略称か 正式名称か についての説明は難しいです。カナダでは「○○○ Canada」とか「Canadian ○○○」とか、連邦政府機関の名称が 2~3の英単語(+仏単語) で付けられています。……移民の人たちが非常に多い国なので、分かりやすくしているのでしょうか……

今回は、どういう人が スポーツカナダの幹部 なのか、について紹介します。
(ほんの一例です!)

ロジャー・ウーレット氏(スポーツ援助プログラム課長)
・1977年:ローレンシャン大学卒業 ※スポーツ経営に関する商学士(優等)
・1977年~1982年:カナダサイクリング(自転車競技)協会「専務理事兼事務局長」
・1982年:スポーツカナダに入局
      ※senior program officer、manager of the Best Ever Winter Program など
・1995年:スポーツプログラム課長(幹部:executive cadre)
      ※部下を約30人持ち、約9500万ドル(約80億円)の補助金事業の責任を担う
・2011年2月 退職

ご退職間近にもかかわらず、カナダ現地調査(1/23~1/30)のヒアリング調査では、ウーレット氏に大変お世話になりました。釣りとゴルフが趣味のようです。いつの日か再会できることを楽しみにしています!

(注)上記情報はWeb上で公開されているものから引用しました。

2011/02/21

#42 解説:カナダのスポーツ政策(6)

 (6) 「1961年法」制定後のカナダスポーツ政策史:時期区分

カナダのスポーツ政策形成に深く関わってこられた Bruce Kidd 教授(トロント大学)の講義では、「フィットネス・アマチュアスポーツ法(1961年)」制定後の大まかな時期区分について、以下のように説明されていました。……実際は、もっと、もっともっと複雑ですが……

①1961-68  実現に向けた助走期
②1968-70  高水準スポーツへの転換期
③1970-76  カナダスポーツ政策の形成期
④1977    スポーツ担当大臣の地位確立期
⑤1978    英連邦における(カナダの)東ドイツ化期
⑥1978-83  システムの強化期
⑦1983-88  「Best Ever プログラム」と88'カルガリー冬季オリンピック期
⑧1988-93  ベンジョンソン、デュビンと「秩序の福音」期
⑨1993-00  カナダのスポーツシステムの解明期
⑩2000-02  新しいナショナルスポーツ政策形成期
⑪2002-03  「The Canadian Sport Policy」策定と「身体活動・スポーツ法」制定期

①についてだけでも資料が山ほどあります。「解説:カナダのスポーツ政策」というシリーズでSMJブログを展開していますが、Terry も「カナダのスポーツ政策」について同時並行で調べ続けています。一国のスポーツ政策の全体像&個別事項を把握・分析するのは、大変な作業です。誰か一緒にやりませんか? まさにライフワークです!

2011/02/20

#41 解説:カナダのスポーツ政策(5)

 (5) 「フィットネス・アマチュアスポーツ法(1961年)」 制定のスポーツ的背景

スポーツ的背景って何?……要するに、カナダにおける連邦レベルの初のスポーツ法である「フィットネス・アマチュアスポーツ法(1961年)」(以下、「1961年法」)の制定に影響を及ぼしたスポーツ上の理由、事情等であります。

Terry は、以下の2点が1961年法制定のスポーツ的背景であったと考えています。

1) カナダの国際競技成績の不振
①当時、英連邦競技大会などの大会において、南アフリカやメキシコ及び西インド諸島よりも下の競技成績であったこと
②1960年ローマオリンピックでの競技成績がブルガリアやニュージーランドを下回った第26位であったこと
③1956年コルチナ・ダンペッツォ及び1960年スコー・バレーの両オリンピック冬季大会で、当時、国技と見なされていた(注)アイスホッケー競技においてオリンピック史上初めて2大会連続して優勝を逸したこと
 このように、「カナダの国際競技成績(特にアイスホッケー)の不振」が「スポーツ分野における威信の喪失」、ひいては「国家威信の喪失」や「国民の士気の低下」に影響を及ぼすのを防ぐことが1961年法を成立に向かわせた一要因であったと考えられます。

(注)カナダでは1994年「ナショナルスポーツ法(National Sports of Canada Act)」により、アイスホッケーとラクロスがナショナルスポーツ(国技)として認められています。

2) 国際スポーツにける旧ソ連の台頭
 ロシア革命(1917年)以後、オリンピックに参加していなかった旧ソ連は、1952年ヘルシンキ大会からオリンピックに参加するようになり、それ以後、1956年メルボルン夏季大会においてアメリカを抜き去り、金メダル獲得数第1位の座に着くなど、旧ソ連は国際競技大会でめざましい活躍を遂げたました。カナダがオリンピックで、過去7大会中6度優勝していた国技であるアイスホッケーの覇権を、1956年コルチナ・ダンペッツォ冬季大会(※世界選手権兼ねる)で旧ソ連に奪われ、そして、世界選手権を兼ねたオリンピックで史上初めて金メダルを逸したことで、カナダ国民が旧ソ連の台頭及び社会主義体制の脅威を肌で感じたようです。
 このように「国際スポーツにおける旧ソ連の台頭」により「社会主義体制の正当化または脅威」をもたらしたことが、1961年法を成立に向かわせた一要因だったと考えられます。

 SMJブログの本シリーズは、少々マニアックな解説になってしまいました。1961年と言えば、日本においても 「スポーツ振興法」 が制定された年でもあります。「スポーツ振興法」と「フィットネス・アマチュアスポーツ法」の成立背景を比較するのも面白いかもしれません。

2011/02/19

#40 解説:カナダのスポーツ政策(4)

 (4) 「フィットネス・アマチュアスポーツ法(1961年)」 制定の社会的背景

本日は、カナダにおいて1961年に制定された「フィットネス・アマチュアスポーツ法」(以下、「1961年法」)制定の 社会的背景(1950年代~法案提出時)について紹介いたします。
……根拠は、カナダ連邦議会(下院、上院)の1961年法案(Bill C-131)に関する議会議事録の分析によるものです。

1) 公共スポーツ施設及び指導者の不足
 当時のカナダでは、経済発展に伴う都市化によって、特にスポーツ分野における公共施設及び指導者不足が社会問題になっていました。
2) 国民の健康及び体力水準の低下
 当時のカナダでは、国民の健康及び体力が損なわれていることが社会問題になっていました。
3) 青少年犯罪の増加
 当時のカナダでは、青少年犯罪の増加が社会問題になっていました。

以上の3点が、1961年法を成立に向かわせた主たる社会的背景であったと Terry は考えています。これまで、1961年法の制定理由として色々なところで紹介されてきましたが、2)についての言及だけで、1) 3) についてはほとんど触れられていません。……参考にしていただければ嬉しいです!

2011/02/18

#39 解説:カナダのスポーツ政策(3)

 (3) 「フィットネス・アマチュアスポーツ法(1961年)」 制定の政治的背景

カナダにおける連邦レベルの初のスポーツ法は、1961年に制定された「フィットネス・アマチュアスポーツ法」(以下、「1961年法」)です。……ただし、それ以前にも、連邦レベルのスポーツ法的な、あるいはレクリエーション活動に関わる法律が幾つかありました。いずれ紹介しますが…

#38で書いたように、1961年法の制定において ディーフェンベーカー首相の強いリーダーシップがあったことは間違いないのですが、一つの法律が誕生するには様々な背景があるのも、また事実であります。

今回は1961年法制定の政治的な背景について紹介します。Terry としては主として3つの政治的背景があったと考えています。

1) 条件付き補助金による連邦制の維持及び集権化
 1961年法第5条及び第6条により、同法は「連邦−州間費用分担プログラム」を行うための法律であることから、条件付補助金による連邦制の維持及び集権化という政治的意図が同法成立の背景に少なからずあったと考えられます。
2) 2つの政府(連邦及び州)レベルで起こった政権交代
 ①連邦レベルの自由党から保守党への政権交代
 ②ケベック州におけるユニオン・ナショナル党から自由党への政権交代
    ※詳細は省略しま~す!
3) カナディアン・アイデンティティ確立のための文化政策の影響
 文化活動におけるカナダ審議会の成功を、スポーツ分野においても実現させようとする動き(発言)が議会でありました。

ブログでの解説の限界です。ご容赦を!

2011/02/17

#38 解説:カナダのスポーツ政策(2)

 (2) ディーフェンベーカー首相のスポーツへの思い

1867年のコンフェデレーション(連邦結成)以来、カナダでは、進歩保守党(現在は保守党)及び 自由党 の二大政党のどちらかが、長らく連邦議会の政権を担当していました。特に、1935年のマッケンジー・キング(William Lyon Mackenzie King)政権以降の約44年間は、ディーフェンベーカー(John George Diefenbaker)保守党政権期(1957-1963)を除きすべて自由党政権でした。カナダにおける連邦レベルの初めてのスポーツ法である「フィットネス・アマチュアスポーツ法(1961年)」は、自由党政権期には制定されず、その狭間のほんの数年の保守党政権期に制定されたのでした。

この度の「カナダ現地調査」で、Terry は Bruce Kidd 教授(トロント大学)から、非常に興味深い話を伺いました。

1976年モントリオールオリンピックの開会式の日に、Kidd 教授が競技場地下の駐車場を歩いていた時、道に迷っているディーフェンベーカー元首相を見かけました。Kidd 教授は、陸上選手だったころ元首相から表彰されたこともあり、すぐに彼だと気づいたそうです。

そして、その場で交わされた二人の会話から、ディーフェンベーカー元首相が、1936年ベルリンオリンピックを見た際、(当時ナチスドイツの支配下にありながらも)その国家によるスポーツの活用法に大いなる感動を覚え、カナダにおいては民主的な方法でスポーツを国づくりに役立てたいと考えるに至り、その結果、1961年のスポーツ法誕生につながった…ということを Kidd 教授は知ったようです。

1936年ベルリンオリンピックには多くの負の遺産もあったでしょうが、例えば1936年以降の大会でも「聖火リレー」が導入されるようになるなど、正の遺産もあったように、同オリンピックはカナダのスポーツ政策にとっても少なからず影響を及ぼしていたと言えるのではないでしょうか。

2011/02/16

#37 解説:カナダのスポーツ政策(1)

 (1) カナダの歴代首相とスポーツ政策

例えば、菅直人首相 が日本のスポーツ政策について国民に語りかけることはあるでしょうか? 想像できないですよねぇ……多分、日本のスポーツ政策の位置づけは省(文科省等)レベルなのでしょう……ところが、カナダの場合は、節目ごとに(連邦)首相が登場します。以下、主要なものを簡単に紹介します。

ディーフェンベーカー首相 (John George Diefenbaker:進歩保守党)
 トロントの国際ホッケー栄誉殿堂のオープニングセレモニーで、フィットネス・アマチュアスポーツ法案(※1961年に制定された連邦レベルの初めてのスポーツ法の法案)を議会へ提出することを公式発表する。(1961年8月26日)
トルドー首相 (Pierre Elliott Trudeau:自由党)
 1968年の国政選挙キャンペーン中、国民統合(national unity)論争が活発化したとき、スポーツによる国民統合について訴え、首相就任直後からスポーツ政策上の改革を積極的に行う。
クレティエン首相 (Joseph Jacques Jean Chrétien:自由党)
 2002年から2012年までのカナダのスポーツ政策(The Canadian Sport Policy)のお披露目、すなわち関係者による最終的な議論の場となった「全国スポーツサミット(於:オタワ)」の議長を務める。(2001年4月)

現在の ハーパー首相 (Stephen Joseph Harper:保守党) もスポーツに理解のあるリーダーのようです。2011年春に国政選挙があるのでは…と言われています。次のリーダーによってはカナダのスポーツ政策が大きく動く可能性もあります。

2011/02/15

#36 大学における体育実技授業の課題④

Terry、Woods さん、Coach K さんの共同研究 第一弾 のまとめです。※ #33~35参照

混在率、すなわち 大学体育実技授業における外国人留学生の割合 が高まるほど、授業がやりにくくなるということが明らかになりました。けれども、実態調査Ⅰ・Ⅱの自由記述回答を分析してみると、教員、日本人学生及び留学生の三者とも混在授業についての消極的なコメントは少なかったです。逆に、三者とも混在授業を 国際交流や異文化間コミュニケーション の良い機会として捉えていることが確認されました。留学生については、日本人学生との交流を期待するコメントだけではなく、スポーツや運動そのものが楽しめた、日本語の勉強になったというコメント等も多かったです。

今回の調査では、混在率の低い大学からの回答が多かったにもかかわらず、混在授業における各教員の模索や工夫の情報が多く得られました。例えば、グループ内で学生同士が必ずニックネームで呼び合うようにさせたり、カタカナ用語(スポーツ用語)を中国語で翻訳したり、留学生に常に声をかけたり、第1回目の授業時に約束事や評価基準などをはっきりと伝えたりすることなど……

しかしながら、前述した三者とも混在授業において期待している国際交流や異文化間コミュニケーションの体育実技授業における具現化の方法論についての情報は今回の調査ではほとんど得られませんでした。

まとめ

混在授業を担当する教員は、授業展開する際、日本人学生と留学生の体育レディネスの違いに配慮すること、また、スポーツを通じた国際交流や異文化間コミュニケーションについても授業において配慮する必要があることなどが、Terry らの研究第一弾により示唆されました。

さらに、研究を進める過程で、「そもそも留学生の受けてきた体育授業の形態が日本人学生のそれと異なっていることにより混在授業においてやりにくさを感じるのではないか」あるいは「混在授業において交際交流や異文化間コミュニケーションを具現化するにはどうすれば良いのか」という、新たな課題が明らかになりました。

Terry、Woods さん、Coach K さんの共同研究 第二弾「外国人留学生の大学入学以前の体育・スポーツ経験に関する調査研究」については、後日、SMJブログで紹介しま~す! (完)

2011/02/14

#35 大学における体育実技授業の課題③

SMJブログ#34で書くべきだったでしょうか?

Terry らの「留学生に対する大学体育実技の現状に関する調査研究」では、(1)予備調査、(2)実態調査Ⅰ、(3)実態調査Ⅱの3調査を行いました。(1)では、①混在授業における問題点の抽出・分類 ②分析枠組の構築 ③実態調査票作成にあたっての指針を得ること を目的として行い、混在授業の実態を把握するために、(2)では、留学生在籍率の高い大学の混在授業担当教員に対して、(3)では、体育実技授業の受講学生(日本人学生及び留学生)に対してアンケート等の調査を行いました。

予備調査結果他により「混在授業を展開する過程で教員が問題を感じるのは、留学生の体育レディネスに起因している。」という仮説を設定して分析しました。

●実態調査Ⅱ(91.4%が中国人留学生)によって、留学生の大学入学以前の学校の授業におけるスポーツ経験種目数(4.19種目)が日本人学生(11.93種目)に比べて少ないことが明らかになりました。

●実態調査Ⅰのデータを因子分析した結果……詳細は省略しますが……体育レディネスは混在授業のやりにくさに影響を及ぼしていることが明らかになりました。

(かなり省略していますので、唐突な記述になりますが…)

外国人留学生の大学入学以前の学校の授業を通じたスポーツ経験及びスポーツ知識量が少ない場合、日本の体育実技授業を受講する上でのレディネスが形成されていない可能性があるので、混在授業を担当する教員は、受講する留学生の、「体育授業についての理解」「運動に適した服装理解」「授業参加の姿勢」「協調する姿勢」「理性的な態度」などの形成状況に配慮して混在授業を展開する必要がある…ことが示唆されました。
(つづく)

2011/02/13

#34 大学における体育実技授業の課題②

Terry、Woods さん、Coach K さんの3人による「留学生に対する大学体育実技の現状に関する調査研究」は、㈳全国大学体育連合 から研究助成金(20万円)をいただくことができました。……その節は、お世話になりました!……

詳細は、『大学体育学(4号)』を参照してください!

混在率 と 混在授業 の やりにくさ について

混在率と混在授業のやりにくさの関連を分析した結果、「混在授業はやりにくい(+「やや思う」)」と回答した教員の割合は全体で23.2%でしたが、混在率10%以上に限定した場合は33.3%、同様に20%以上では38.9%、30%以上では45.5%、40%以上では66.7%でした。したがって、留学生の混在率が高まるほど授業をやりにくいと思う教員の割合が高まることが明らかになりました。すなわち、体育実技授業における留学生の混在率と授業のやりにくさには関連があることが確認されました。

また、混在授業のやりにくさの質問項目(Q1~Q7)間の相関係数を求めたところQ1とその他すべての項目間で正の相関(1%水準)が見られたました。「出欠確認」「留学生の言葉の理解」「グループ分け」「授業目標達成度合いの把握」「説明時間」「授業進行」の6項目(カテゴリー)が混在授業のやりにくさの具体的内容として確認されたました。(つづく)

2011/02/12

#33 大学における体育実技授業の課題①

大学ですので「体育(Physical Education)」という授業名を採用しているところは少ないと思います。スポーツ実技、体育実技、スポーツ実習、健康スポーツ、フィットネスなど、大学によってスポーツの実技授業の名称は様々です。……ここでは、それらを総称して 体育実技 と記述させていただきます……

2004年度から Terry の勤める大学に外国人留学生(以下、「留学生」)が多数(50~60人)入学してくるようになりました。その結果、体育実技授業における留学生の占める割合も高くなり、一部の学科(コース)によっては全員が留学生という授業もありました。その時、Terry は授業を展開する際、これまで感じたことのない違和感を覚えたのです。

これまでも、担当する授業に留学生が受講していることはありましたが、その割合は非常に低いものでした。しかし、その混在率(受講学生に占める留学生の割合)が高まることにより、従前の日本人学生だけを対象にして進めてきた手法では、混在授業(日本人学生と留学生が受講している授業)が上手く展開できないことに気づきました。それは、言葉の問題だけによるものではなかったのです。

何故なのだろう?

この素朴な疑問に対する答えを知りたい!or  眼前の問題を解決したい!…と思ったのが、留学生に対する大学体育実技の現状に関する調査研究」に着手した動機でした。
(つづく)

2011/02/11

#32 私の研究テーマ②

Terry は、ライフワーク的な研究テーマを二つ抱えています。(SMJブログ #3 ・ #11 参照)
現在、主に力を注いでいるのが「カナダのスポーツ法と政策に関する研究」です。ただし、それよりも、もう一つの方を、Terry にとってのメインテーマとして位置づけています。今回のカナダの報告書作成が一段落し、研究を再開できる時期が来たらSMJブログでも取り上げます。

スポーツ政策学の 究極の任務・役割 は 「スポーツ問題の解決」、すなわち「スポーツ問題の解決に資する具体的方策の提示」だと、Terry は考えています。したがって、前述の二つの研究テーマ以外にも、Terry が 自ら遭遇したスポーツ問題 を解決するために着手した研究テーマが幾つかあります。……前後しましたが、スポーツ問題とは スポーツ分野における各種の問題・課題である と定義しておきます……

あれは、2004年4月~5月頃だったでしょうか。Terry の勤務する大学に 外国人留学生 が多数入学するようになったことが、その研究に着手するきっかけでした。Woods さん、Coach K さんを巻き込んだ共同研究が始まったのです。

2011/02/10

#31 スポーツプログラムの企画・運営 (4)

本シリーズの最終回は、Terry の勤務する大学の スキー&スノーボード実習 について紹介させていただきます。1997年4月から専任教員3名による現体制がスタートしました。その体制も、今年で15年目を迎えます。……そこで、今後もSMJブログに度々登場すると思いますので、Terry 以外のスタッフ二人を紹介します。

Prof. Woods (さん) …… ボスです! 専門:サッカー他 
Coach K (さん) …… 若手!?のエースです! 専門:バスケットボール他

我々3人は野外活動の専門家ではありません。したがって、他の大学のウインタースポーツの実習から学ぶべき点は多々あると思っています。ただ、我々独自の取り組みとしてアピールできる点も若干あるのでは…という思いもあります。

まず、3人の中での共通認識は…当然のことなのですが…「リスクマネジメントの徹底」です。以下は、その具体的な実践事項です。

① 実習に看護師を帯同させている
② スノーボードコース選択の学生には全員ヘルメットを着用させている ※大学の備品
③ 大学で加入している保険以外に民間の保険(傷害+賠償責任)にも加入している
④ 指導に直接入らない 指導補助 兼 パトロール担当教員 を配置している
⑤ 専任教員全員(3名)が「アマチュア無線技士4級」を取得し、トランシーバーを活用している
⑥ 毎晩スタッフミーティング(看護師を含む)を実施している

その他

⑦ 特別の事情がない限り、実習地・宿泊場所を固定している
⑧ 無理を聞いていただける業者さん!?との信頼関係が構築さている
⑨ 値切りの達人がいる(リフト券、バス貸切料など)
⑩ 専任教員の役割分担が明確になっており、チームワークが機能している

エピソード

アマチュア無線の資格を取りませんか?
えっ……いいけど……
……じゃ、みんなで受ける?
そうしましょう!

(Coach K さん は余裕、Woods さん と Terry は徹夜のお勉強)


    ~専任教員3名全員合格~


……自分だけ落ちなくて良かったぁ!

それでも、スポーツには事故がつきもので、今回の実習でもけが人は出てしまいました。ただし、スキー場のパトロールにも助けられ、可能な限りの対応を取ることができました。

看護師を帯同させたり、講習中に無線機(トランシーバー)をフル活用している実習は少ないようです。このように、スポーツプログラムの企画・運営上、リスクマネジメントは必ず押さえておく必要があると思っています。

さて、私は誰でしょう? (完)


2011/02/09

#30 スポーツプログラムの企画・運営 (3)

本日も、15~16年前の話ですが、S財団で Terry が手がけたスポーツイベントについて書くことにします。Terry の就任以前、卓球元世界チャンピオンによる「模範試合と講演会」という事業が同財団の寄付行為に基づき実施されていました。ただし、2年連続して同じ内容だったことから、Terryが新企画の立案を任されることになりました。

スポーツプログラムの企画・運営上、所々でネットワークの重要性を感じます。Terry の場合は出身大学のネットワークを活用させていただくことにしました。すなわち、学生時代に直接・間接指導を受けた先生を頼ることにしました。そこで、企画・実施したのが以下の(1)(2)です。

1年目……(1)バドミントンの模範試合と講演会
2年目……(2)ダンベル体操の実技と講演会

(1)は、多くの一流選手を育て上げたカリスマバドミントン指導者と男子シングルス・インカレチャンピオン他学生選手数名をお招きしてのイベントです。カリスマ指導者による講演の後に、ダブルス、シングルスの模範試合が行われ、最後にS区のバドミントン愛好家の方々が学生たちに挑戦するというプログラムを設けました。

(2)は、当時ブームであったダンベル体操の考案者の先生をお招きしてのイベントです。ダンベル先生による講演の後に、参加者全員で、ダンベル体操の指導を、考案者の先生から直接受けることができました。

どちらも120~130人位の区民の方々の参加があったと記憶しています。
企画したのは、Terry ですが、準備・広報・動員・会場準備・運営においてS区から同財団に出向されていた公務員の方々に大いなる協力をいただきました。

スポーツプログラムの企画・運営において、ネットワークチームワークの重要性を実感することができた、充実したイベントでした。(つづく)

2011/02/08

#29 スポーツプログラムの企画・運営 (2)

昔話になりますが、Terry の手がけたスポーツプログラムについて紹介させていただきます。15~16年前のことなのですが……

東京都S区スポーツ振興財団(以下、「S財団」)の体育専門調査員として最初に与えられた仕事が、S財団の主催する区民スポーツ教室の実態調査・分析・問題点の洗出し・改善策の提言(新規事業の企画・運営)でした。

詳細は忘れてしまいましたが、問題点の1つに、区民スポーツ教室に参加している方々の属性にかたよりがあったこと、がありました。すなわち、平日仕事をしている方々の参加率がとても低かったのです。……当然ですよね……平日の参加は難しいですよね……じゃぁ、土日に参加すればいいんじゃないの、となりますが、土日はスポーツ教室よりも施設の開放が優先され、それも競争倍率が高く、なかなか思うようには行かなかったようです。

そこで、考えたのが区民の方々(ターゲット:働いていてスポーツができない人達)が、祭日に、手軽に参加でき、1日スポーツを満喫することができる「ワンデー・スポーツパック」というプログラムを企画しました。様々なスポーツを想定していましたが、第1回目は「カヌー」を採用し、埼玉県の長瀞で開催しました。私がS財団を離れる前に「マウンテンバイク」も企画しましたが、実現したか否かは定かではありません。

スポーツプログラムの第一の関門は「人集め」だと思います。どんなに自信を持って企画できたとしても、予定している人数が確保できないと、企画が悪かったということになってしまいます。「ワンデー・スポーツパック(カヌー)」は大型バス1台を貸し切って長瀞でカヌーを楽しむプログラムです。定員は40~50人位だったと思います。“はみ出しピア”をはじめお金をかけずに積極的に広報しました。また、それまでS区のスポーツ教室は往復はがき、電話等による1名単位の申込制(抽選あり)の仕組みを採用していたところを、2名単位での申し込みも可ということに変更して、申し込み開始日を迎えることにしました。

幸いにも、定員を超える申し込みがあり、当日も天候に恵まれ、充実したプログラムが提供でき、ホッとしたことを鮮明に覚えています。 (つづく)

2011/02/07

#28 スポーツプログラムの企画・運営 (1)

Terry は、今、長野県(戸隠)にいます。大学の「スキー&スノーボード実習」の引率・指導のためです。カナダに比べたら……寒くない!……と言いたいところですが……でも、寒~いです!
戸隠スキー場(瑪瑙山・山頂)から戸隠連峰を望む

スポーツ政策の研究をしている者として、物事の 企画立案能力 及び その実践力 が問われる場面では、強いこだわりを持ってしまいます。要するに、意見や提案はするけど、実践が伴わないわねぇ……と思われたくないのです。…見栄っ張りで負けず嫌いの性格のせいでしょうか…

Terry は、大学院時代、東京都S区のスポーツ振興財団で2年ほど仕事をさせていただいたことがあります。主に、スポーツに関する調査・研究、スポーツプログラムの企画立案、実施等を担当したのですが、そこで、様々なことを経験しました。特にスポーツイベント(小規模なものですが…)を如何に充実・成功させるか…ということの基礎が体得できたと思っています。

Terry のちょっとした経験に過ぎませんが、スポーツプログラムの企画・運営について思うところを 4回シリーズ で書くことにします。 (つづく)

2011/02/06

#27 スポーツガバナンス(sport governance)④

1月16日~18日のSMJブログで、スポーツガバナンスについて書きました。実は、これから出版されるスポーツ政策に関する本で Terry がこのテーマで執筆しています。色々権利問題が絡みますので、支障のない範囲でしか書けないのですが、スポーツガバナンスについては少々勉強しました。

SMJブログ#9では、ASC と SPARC によるスポーツガバナンスの説明を示した上で、スポーツガバナンスの具体例として「財団法人日本相撲協会の理事会による組織統治システムまたはその統治プロセス」ということを挙げました。日本の学会でもスポーツガバナンスについて取り上げてシンポジウム等を行ったりしていますが、Terry の個人的な印象としては「何だか難しく考え過ぎているなぁ」というものがありました。その本質は、スポーツ組織・団体の理事会(a board of directors)による組織統治能力であり、いたってシンプルなのですが……

その、今話題の日本相撲協会の問題ですが、ここまで来ると、理事を総入れ替えして立て直しを図るしかないのでしょう。

Terry はプロレスが好きです。プロレスは興行です。プロレス、すなわちプロレスリングの何がプロか? ということは真のプロレスファンであれば明快に答えてくれるでしょう。

大相撲も興行だと思います。理事会の問題を解決し、プロ相撲としてゼロから出発してはどうでしょうか。

2011/02/05

#26 「2011カナダ現地調査」を終えて思うこと⑥

1月30日にカナダから戻り、数日しか経っていないのですが、もう非日常から日常に戻ってしまいました。現地での充実した様々な体験・経験も、記憶の薄れとともに、もう過去のものになりつつあります。少しさびしい気分です。

さて、本シリーズの最終回として、カナダでの7日間で思ったことを順不同・箇条書きで記します。

滞在地がトロント、オタワという主要都市であったせいか、やたらとコーヒーショップ(Second Cup、Starbucks)が多かった。
フードコートで お好み焼き風の料理 が TERIYAKI の名前で売られていた。
売店(ホテル、空港内)の店員さんの金銭感覚がアバウト(寛容)だった。数セントのお釣りが発生した時、切り上げてくれた。また、手持ちの外貨を使いきろうと思って買い物をした時、2~3ドルオーバーしてしまい、エッ とアタフタしていたら、それだけでいいよ! と全部袋に入れてくれた。
極寒のカナダでも、早朝、昼休み、夕方にジョギング(※ランニングと言った方が良いぐらいのスピード)をしている人たちが多数いた。
カナダに入国をした際には、入国手続き(パスポートにスタンプ)があったのに、出国の際には手続き(パスポートにスタンプ)がなかった。Terry は本当にカナダを出国したのか?
カナダの公用語は2ヶ国語(英・仏)で、公の表示は2ヶ国語で表記されているのでビジネスカードもそうかと思っていたら、ヒアリング先でもらったものはどちらかの言語のみであった。各自でどちらか選択するのが一般的なのかなぁ…
念のためハウスキーピングのチップ(1ドル)をベッドの横に置いておいたが、やはり受け取っていなかった。
カナダで人気の石鹸があるのだろうか、街を歩いていても、同じような石鹸の香りがした。それとも、カナダ独特のニオイなのか?
旅行慣れしている人にとっては常識なのかもしれないが、円→ドル、ドル→円のどちらもT/C(トラベラーズチェック)中心で両替したほうがお得だということが分かった。現金の場合は手数料が高い。帰国時は、T/Cをより多く残しておく方が良いのだろう。
スーツケースは壊れることもある、海外で体調を崩すこともある、ということを実感した。最悪の場合、飛行機に積んでもらえない、あるいは帰国できないこともあり得たので、少し焦った。海外旅行保険には必ず入っておきましょう!  (完)

2011/02/04

#25 「2011カナダ現地調査」を終えて思うこと⑤

Terry は、今、カナダのスポーツ政策の分析作業に追われています……と言っても、その全体像の把握を試みている段階なのですが……そこで、今日は、一国のスポーツ政策を理解するということはどういうことか?」について書きたいと思います。

運命か、必然か、Terry はカナダと出会ってしまい、途中 ほったらかし の期間も結構ありましたが、約20年間、連れ添ってきました。ある時期から、冗談めかして「自称 カナダのスポーツ法・政策研究の第一人者です!」と言っていました。何故なら、カナダのスポーツ法や政策について、紹介する人はいても、ライフワーク的に研究している人は日本国内に見当たらなかったからです。

ところが、カナダにおける2003年『身体活動・スポーツ法』の成立過程研究」でカナダ政府から 2006-2007 FRP Award を受賞してカナダに行ってからというものは、今回を含め、カナダのスポーツ政策関連で色々なお仕事をいただけるようになりました。僭越ながら、自称がとれたような気がします。ただし、今も、Terry の一人旅 状態は変わっていないようですので、早く同伴者が現れてくれることを期待しております!

さて、本題です。ある国のスポーツ政策を理解しようとする時、法律、報告書、政策、施策、プログラム、機関、組織・団体、予算等の個別事項をそれぞれ把握することは言うまでもありませんが、それだけではその全体像を把握することはできないと思います。それらの歴史的経緯、社会的・経済的・政治的背景、キーパーソン・機関の動き、相互の連関、スポーツを巡る環境、国情などの多くの要素と絡めて考察しなければ、その全体像は浮き彫りになってこないと考えています。今回の現地調査により、その糸口がつかめたような気がします。

 一国のスポーツ政策を理解するということは “3次元パズル” を解くようなものである!

とても、ワクワク! ドキドキ! ……楽しんでまーす! (つづく)

2011/02/03

#24 「2011カナダ現地調査」を終えて思うこと④

ここ数日、時差ボケに悩まされていました。とにかく 1日中 眠かった!
今まで、カナダスポーツ政策研究の諸作業をやってましたが、以前のような集中力が戻ってきたところをみると、それも解消したかな…

さて、今日は 記録の重要性 について書きたいと思います。これまで通勤時は、朝は「特ダネ」(フジ)、夕方は「Jチャンネル」(朝日)か「スーパーニュース」(フジ)の音声を聴いていました……が、カナダ出発前の1カ月程は、通勤の往復2時間弱、運転しながらずっと英語を聴いていました。(残念ながら、あまり効果がなかったです…)

そして、帰国後は、現地調査(ヒアリング)時に録音させてもらった ICレコーダーの音声をイヤホンでずっと聴いています。「俺って、聴き上手やなぁ…」(厳密には、通訳者のNakaさんとMax氏なのですが…)と、自分に酔いしれながら聴いています。若かりし頃、○コンで、「私こんなにしゃべっちゃったのは生まれて初めて!」なんて言われたこともありますが……それはさておき……これがまた、カナダのスポーツ政策に関する情報で実に重要なものが所々に散らばっているのです。もしも、手書きのメモや記憶だけだったり、あるいは録音に失敗していたら…と思うと ゾッ とします。

現在、SMJブログでは現地調査ネタを展開していますが、つい数日前の刺激的なカナダでの出来事でさえ、徐々にTerryの記憶から薄れていっているのが分かります。そのような意味で、今、SMJに書き留めることに意義を感じています。

SMJブログは、Terry の研究上の目的・使途もありますが、ジイサンになって、#1~読み返すことも楽しみの1つに加えたいと思います。 (つづく)

2011/02/02

#23 「2011カナダ現地調査」を終えて思うこと③

昨日は、某C大学の非常勤(テニス3コマ)の日でした。うち1コマはスポーツ科学を専攻する学生を対象にした授業です。彼らは、とても 身体能力が高くかつ優秀な学生さん たちです。

今回のカナダ現地調査では、トロント大学(University of Toronto) と オタワ大学(University of Ottawa) という同国の2つの名門大学を訪れる機会がありました。トロント大学には Faculty of Physical Education and Health 、オタワ大学には School of Human Kinetics があります。

Fitness and Amateur Sport Act(1961年)に基づく「体育・スポーツ分野の大学院生・研究者向けの奨学金・研究助成金制度」があったことにより、カナダの大学におけるスポーツや体育に関する学部・学科が発展してきたそうです。けれども、政権が変わったり、財政状況が悪化したことで、これらの制度は1970年代に打ち切られました。

ところが、Kidd教授の提言などもあって、新しい スポーツ法スポーツ政策 に盛り込まれるなどして2005年頃から復活したようです。そのKidd教授は1964年東京オリンピックに5000走で出場しています。また、Own The Podium のCEOバウマン氏は1984年ロサンゼルスオリンピックで2個の金メダル(競泳)を獲得した実績のある人です。

詳細な説明は省略しますが、カナダでは元スポーツ選手が社会で活躍しているケースが多いのではないか、という印象を持ちました。特に、スポーツ政策でどうのこうの という話ではありませんが……

テニス授業の最後に、学生たちに言いました。
「カナダでは、大学でスポーツを経験したり、スポーツを学んだ学生が、その後経営学など他の分野・領域を学んだり、また様々な経験を積んだりして、スポーツ関係組織等のリーダー&スタッフになっている事例が多くあるように思う。皆さんも、色々勉強して、活躍して下さい!」

おっと、うちの 健スポ の学生にも言わないと! (つづく)

2011/02/01

#22 「2011カナダ現地調査」を終えて思うこと②

今回のカナダ現地調査を通じて強く感じたのは、日本人だったらあそこまで丁寧に対応するだろうか?」と思うぐらい、行く先々で好意的かつ協力的に対応してもらえた、ということです。4日間で7ヶ所のヒアリングを行いましたが、どこも美味しい茶菓子をいただいたうえに、とても魅力あるお土産もいただくことができました。レアもの多数! 特に、Own The Podium のブリーフケース(ファスナー付)は気に入っています。uOttawa オリジナル・ステンレスマグは研究室で使おうと思っています!(※過去の記事参照) ただし、SMJブログでは紹介していませんが、トロント大学の Kidd 教授からは 物凄いもの をいただきました!

…と言うことではなくて! ヒアリングに対する先方の「事前準備」「当日の対応」について、言いたかったのです!

Max氏とも話していましたが、これは表敬訪問ではなくヒアリングなのだ…と。

したがって、説明された内容の中で少しでも不明な点、疑問点等が出てくれば、すぐさま質問を投げかけたり、また、事前に準備した質問事項についても妥協せずに、その答えを引き出そうとしました。どこも休憩なしで、みっちり2時間~2時間半はヒアリングしました。

でも、ヒアリングに応じていただいた皆さん(Canadian)は、嫌な顔一つせず、こちらが納得するまで丁寧に説明してくれました。

先ほど、6通(9人宛)の英文お礼状メールを作成しました。英語が苦手な Terry にとってはしんどかったです。明日、大学から送信します! (つづく)